[Photo: Reuters]
2016年6月下旬に英国のEU離脱 (Brexit) が決定してからの世界経済や金融市場は混乱を見せています。株価や外貨の急激な変動など、安定とは程遠い現状です。キャメロン首相が辞意表明し、政界が離脱に向けて着々と動いています。そんな中欧州統合による金融や政治経済などの記事は多く見られますが、EU離脱による社会的投資市場への影響は果たしてどうなのでしょうか。
当ブログでも幾度か紹介した、英国のBig Society Capital(銀行の休眠資産を使ってソーシャルセクターで活動する団体に資金調達支援をする英国の中間事業者)のCEOであるCliff Priorが、国民投票結果直後に、今後に向けての心境を語られたコラムを掲載していましたので、邦訳紹介します。
分裂した「非」連合王国、英国。
国民投票の結果は英国を分断してしまう結果となりました。何より、若者と高齢者の溝がさらに深まってしまったようです。
低所得者層の人々は政府、野党、有識者などによって左右されるこれからの未来には希望を持てず、自国への不信感も募るばかりです。
今回のEU離脱から生じる不安や経済的影響を一番受ける人々はほかの誰でもない、貧困層です。社会的統合は悪化し、今後の英国を長期的にみても、壁は大きく、道のりは長いでしょう。
もしソーシャルセクターにいるあなたが「残留」に一票を投じたのなら、この国民投票結果に憤りを隠せなくて当然でしょう。でも、来週の月曜日からは、努力を更に積み重ねていかなければいけません。
非営利団体や社会的企業を支援している私達にとって、貧困削減や社会統合など、皆さんが話している社会的課題の解決は重要なアジェンダです。実際に課題解決に挑んでいる非営利団体や社会的企業たち、そして中間投資家などと比べると、EU離脱の影響は私達にはまだそこまで及んでいないということは理解しています。
しかし、Big Society Capitalの私達は、EU離脱によって起こる経済・金融変動が社会的投資に今後どのように影響してくるのか、覚悟を決めてしっかり計画を練っていかなければいけません。外貨やインフレなどの規模の大きな問題から、経済変動性が引き起こす目先の問題まで、しっかり見据えることが重要なので他団体の仲間と共に追及し、考えを共有していきます。
ソーシャルセクターに存在する能力、情熱には、目を見張るものがあります。このセクターにいる私達にとって一番重要なことは、分裂を修復し貧困削減に尽力し、解決策を見出すということであり、来週から、ただただそれに一層の努力を重ねていくのみです。