昨年11月にARUNが出版したインパクトレポートをご覧になってくださった方も多いと思います。Crowdfundingで寄付・投資してくださった方、レポートを完成させる上で様々な面でご協力くださった方に改めまして御礼を申し上げます。

 

大野泉先生からのブログ記事でも書かれたように社会的インパクト投資への関心が高まる中、社会的インパクト評価についても分野横断的に様々な評価方法・ツール・格付け評価システム・報告基準などが提案されています。

 

今回のブログでは、世界で多く使われているそんなインパクト評価の「手法」に着目していくつかご紹介します。

 

1.Impact Reporting and Investment Standards (IRIS) (アイリス)

インパクト評価といえば忘れていけないのは2008年にうまれたGlobal Impact Investing Network (GIIN)から生まれた IRISです。IRIS自体はインパクト評価をする媒体ではなく、世界中で分野横断的に使用されているインパクト評価の測定基準をまとめて公開しているウェブサイトで、世界中で多く使われている指標の定義を普遍化することを目的としています。IRISのウェブサイトは団体の内容、商品の内容、財務業績、事業インパクト、商品のインパクト、用語集の6つによって整理されており、政府、非政府、非営利、社会的企業、博愛団体、そしてインパクト投資家などに幅広く使われています。

 

2.Social Return on Investment (SROI) (社会的投資収益率)

SROIは組織・団体によって出された社会的・環境におけるインパクトの広い価値の概念に基づいて評価を行うための手法です。そういった手法を広めるための団体もSROI Network Japanなどがあり、イギリスの元The SROI Networkは2015年にSocial Value UKと改名し、さらに活動の範囲を広げました。SROIは社会・環境・経済の費用と便益を用いて様々な活動から発生した社会的インパクトを評価します。SROI方式インパクト評価では「社会的価値の貨幣価値化」、「ステークホルダーにもたらされた価値の可視化」、そして「参加型評価」の3つの手法があります。SROI Network Japanによるより丁寧な説明はこちらからご覧になれますが、SROI手法が適した活動は、行政による資源の効率的活用や企業のCSR活動における便益試算(またはCreating Shared Values)など、貧富の差を減らす、環境劣化問題、またはステークホルダーの全体的な生活の質の向上など、社会・環境・経済の費用・便益から計算できるものが対象となりやすいようです。

3.Global Reporting Initiative (GRI) 

大企業によく使われるGRIは「サステナビリティ」に関する国際基準の策定をする非営利団体で、GRI自体はIRIS同様、インパクト評価をしませんが、国際基準のSustainability Reporting Guidelineを策定しています。GRIは、国連グローバルコンパクトと国際環境計画(UNEP)の公認団体です。現在ではGRIを年次報告書に盛り込む企業が大変多く世界でガイドラインが広く使われていることが示されています。

4.Shujog Impact Assessments (Shujogインパクト評価)

ご存じの方も多い、シンガポールベースの団体ShujogですがShujogのインパクト評価についてはこちらのブログ記事でも簡潔に説明しました。Shujogが行っている事業の一つであるShujog Impact Assessmentsは、ShujogのSustainability Pyramid Frameworkやほかの業界のツールを統合・開発し、2010年から使われている手法です。Shujogのインパクト手法は、企業や団体が行う活動が受益者、環境、社会にもたらすインパクトを評価するもので、アジア・太平洋を中心に約80団体に分野横断的に使われています。貨幣換算やベンチマークを用いらずに団体のニーズに見合ったアプローチで評価されます。この手法は柔軟に事業の成長時期・投資ニーズに関係なく使うことができ、投資家に対する第三者的視点での評価が可能にもなっています。今後はアフリカのインパクト評価へも着手するようです。

5.Results-based Accountability(成果に基づく説明枠組み)

1996年にアメリカのMark Friedmanによって開発された枠組み、Results-based Accountabiliry (RBA)はOutcome-based Accountabilityとも呼ばれ、組織・団体の目標・ビジョン(または課題)を先に描き、目標達成への任務・タスクを見出す手法。目標を明確にしてから最終的に必要なタスクを浮き彫りにする逆向きなこの手法は分野・レベルを問わず、タスクからインパクト評価の指標を特定し、インパクト評価がしやすいということでアメリカだけでなく全世界でもよく使われている人気の手法です。この手法には団体のチームメンバーが全員このプロセスに参加し、インパクト指標に同意し進めることがカギとなります。

 

今回は世界で使われている多くの評価手法のうちの5つをご紹介しました(2016年一月現在)。次回は世界で多く使われているインパクト評価のツールを紹介します。

 

参考ウェブサイト