ARUNの投資チームとは
ARUNの活動は、多くのサポーター会員に支えられています。
投資を実行したり、その後のモニタリングを行ったりと、ARUNの活動の主軸部分を担う投資チームも、プロボノとして参画してくださっているサポーター会員やインターン生の活躍により日々の業務が進められています。
2021年は、7人のプロボノメンバーと3人のインターン生がかかわり業務を進めてきました。
2021年にはドゥ・アニャムへの投資を実行
2021年の大きな目玉は、2020年に実施したビジネスコンテストCSIチャレンジⅢで優勝企業となった、ドゥ・アニャムへの投資を実行できたことです。
ドゥ・アニャムは、アプリ(Krealogi)を用いて農村部の職人と購買企業を繋ぎ、サプライチェーンの見える化や、農村部の職人に対する金融アクセス提供などのサービスを行うインドネシアのスタートアップ企業です。
事業や経営状況の精査を経て、2021年6月2日に正式に投資を決定しました。その後、定期的にMTGを重ね、TOC(Theory of Change:事業がもたらすインパクトをロジックで図示したもの)の確認やKPI(Key Performance Indicator:インパクトを図るための指標)の設定、投資条件の調整などを経て、11月に5万ドルの投資を実行しました。
普段は現地へ飛んで行うやり取りも、コロナ禍によりすべてリモートで行わざるを得ず、KPIや投資条件の調整に加え、契約書の作成や文面調整にも時間を要しました。結果10か月のデューデリジェンスと交渉を経ての投資実行となり、完了した際には達成感もひとしおでした。契約書の作成や文面調整にはARUN側もドゥ・アニャム側もプロボノの弁護士のお力を借り、サポートに大変感謝をしています。また、今回の原資をクラウドファンディングを通じて寄付してくださったサポーターの皆様に改めて感謝を申し上げます。

ドゥ・アニャムとのMTG
ドゥ・アニャムへの投資について詳細はこちらをご一読ください。
https://arunseed.jp/archives/5904
以前に投資を行った2社のモニタリング
以前に投資を行った2社についても、隔週ないし月1でミーティングを行い起業家の伴走支援を行っています。ミーティングの機会に加えて定期的に共有される財務・非財務資料を通じて業績の推移や課題を確認する他、社会的インパクトを表す指標を定めて、測定、モニタリングを行っています。これらの情報を基に、隔月で投資先企業のレポートを作成し、ARUNの会員の皆さんに報告しています。
CSIチャレンジⅠの優勝企業「ステラアップス」
CSIチャレンジⅠの優勝企業で、2017年に5万ドルを投資したステラアップスは、酪農事業向けにIoTサービスを展開するインドの会社です。
最近では、従業員が300人を超え、サービスを利用している農家の数は約280万戸に上るなど、会社の規模も拡大しています。従来のIoTサービスに加えて、自らサプライチェーンを構築したり、飼料ビジネスに参画したりと、ビジネス基盤の多角化を図っています。

ステラアップスとのMTG
ステラアップスについて詳細はこちら
https://arunseed.jp/archives/5979
CSIチャレンジⅡの優勝企業「ブックマイバイ」
CSIチャレンジⅡの優勝企業で、2018年に2万5,000ドルの投資を実行したブックマイバイは、ITを活用し家事労働者に特化した人材紹介サービスを提供するインドの企業です。
2020年はコロナ禍でやや低迷したものの、2021年は持ち直し、家事労働者派遣事業は堅実に売上を伸ばしています。
また、既存ビジネスが大きな影響を受ける中、2021年には新規事業として、スマホアプリにより求職者と雇用者を直接つなぐサービスの開発を開始し、一部リリースに漕ぎ着けています。現在、アプリの開発に伴い、更なる資金調達も計画しています。

ブックマイバイとのMTG
ブックマイバイについて詳細はこちら
https://arunseed.jp/archives/6020
投資チームの日々の活動の様子
前述の3社それぞれと、隔週ないし月に1度の定例MTGを行っています。プロボノメンバーが中心ということもあり、毎回のMTGは20時や21時スタートで設定。毎回ARUN側4~5名、投資先企業からはCEOならびに経営陣が参加しています。
プロボノの中でもドゥ・アニャムのリード担当、ブックマイバイのリード担当・・・と役割を定め、MTGにあたっては、各リード担当者が事前にアジェンダを準備し、当日の進行を行います。議事メモ作成はインターンのメンバーも担当しており、とても頼りになる存在です。また毎月開催されているARUNの会員ミーティングでは、隔月で投資チームから進捗の共有をしており、発表用の報告資料は各メンバーで分担して作成しています。
違う国で第一線にて事業をされている起業家の方々のお話を聞けることは刺激的であるほか、資料の読解等を通じて財務状況・事業の理解が深まるところが面白いところです。
2022年度も引き続き、3社のモニタリング・経営支援を行っていく予定です。投資チームとして活動を始めて、MTG・報告のサイクルは出来上がってきたと考えているものの、より体系的なモニタリング手法の導入や、レポート内容の拡充にも着手できればと思います。
また、経営伴走で投資先によりメリットがあることができるよう、投資チームとしてさらに知恵を絞っていきたいです。
2021年の振り返りや2022年の展望は?投資先企業からの声
投資先それぞれからも昨年の振り返りと新年の抱負についてコメントをもらいましたので、ご紹介したいと思います。
1.ドゥ・アニャム(CEO: Ms. Azalea Ayuningtyas )
2021年は観光業は回復せず、企業用ギフトが主力となりました。小売では世界的な大手家具量販店との取引が開始。今後は輸出にも注力し、デジタルマーケティングを強化していきます。秋に技術チームを強化して以降、アプリ(Krealogi)の開発が更に進んでいます。2022年には在庫機能や発注機能を改善し、ダウンロードならびに登録数の増加を目指します。トレーニング・パートナーシップにとっては2021年は好調な1年となりました。eラーニングは政府、NPO等とパートナーシップを結び、400以上の都市、1,600人以上の中小企業家にトレーニングを行うことができました。
■サービスの先の受益者の声
職人:Maria Magdalena Lewarさん
「ドゥ・アニャムからの収入により、家族のために野菜、魚、卵などを定期的に買えるようになりました。子供の教育費も払えるようになりました。」
職人:Kornelia Nina Bulenさん
「ドゥ・アニャムが私たち職人へ提供してくれている生活支援で初めてメガネを受け取り、夜や夜明けでも快適に織ることが出来るようになりました。」
職人:Bernadeta Buti Werangさん
「息子のTinoは、ドゥ・アニャムが提供する奨学金を受けました。彼は将来、建築家になって私たち両親のために家を建てることが夢だと話しています。」
2.ステラアップス(CEO: Mr. Ranjith Mukundan)
2021年は新型コロナの影響でビジネスも打撃を受けたものの、9月に資金調達などを行い資金繰りの困難を脱出することができました。現在は新型コロナも収束して売上に勢いがあるので、2022年もこのままの勢いで乗り越えたいです。
2022年はさらなる業績改善を目指すほか、今後2年ほどのキャッシュフローを見据え、資金調達を行う予定でいます。調達した資金は主にサプライチェーンの拡大に使用する予定です。向こう3年ほどで、本業で十分なキャッシュを生み出し、資金調達に頼らなくてもいい体制を整えていきたいと考えています。
3.ブックマイバイ (CEO and COO: Mr. Anupam Sinhal)
2021年は新型コロナ以前から課題だった売上高の停滞から脱出できた、成果と学びの多い年になりました。月平均の売上高は約半年前と比べて約1MINR(150万円)増加しています。
学びとしては大きく三つあります。①リモートワークが可能であること、②需要が堅調で対応できる従業員の増員により利益が増すこと、③自分たちも外注せずともアプリを開発できるということ、です。
2022年はアプリの拡大と性能向上を進め、引き続き売上高の増加を目指すほか、WhatAppを活用したオートメーションに力を入れたいと考えています。雇用プロセスの自動化により、より多くの女性に仕事を与えることを目指したいです。
色々聞いてみました!投資チームの声
Q.なぜ投資チーム(もしくはARUN)の活動に参加しようと思いましたか
(Tomoさん)本業でインフラ事業投資の仕事に携わっており、経験を活かし、ARUNの活動を通じて更に学べるものがあると思ったため。
(ゆきさん)本業で政府を相手にする途上国援助に携わっているけれども、政府相手ではできないことがあると感じていた。民間レベルで課題解決に取り組んでいる社会的企業に希望を見出し、彼らと一緒に取り組む社会的投資の一つ一つのプロセスを学びたいと考えた。
(大場さん)投資を通した国際協力があると知り、非常に興味が湧いたから。投資チームで現場を見てみたかった。
(関さん)ビジネスを通して国際課題を解決する仕組みに興味があり、新興国の社会的企業に投資をしてインパクトを拡大しているARUNのモデルに共感したから。
Q.投資チームの活動の何が魅力ですか
(Tomoさん)第一線で活躍している各国の経営者の方と沢山コミュニケーションを取ることが出来る点。オンラインながら多様なバックグラウンドを持つプロボノメンバー、インターン生と関われる点。
(ゆきさん)投資先の経営者に直接話ができるところ、インパクトを測る指標を具体的に考える場にいられるところ、ARUNのいろいろなメンバーが持ち寄る知見に触れられるところ。
(大場さん)社会問題に取り組む企業家の話が聞けたり、他のチームメンバーと関われるところ。
(関さん)企業を経営する上で経営者が直面するリアルな課題を学べること。また、投資の知識がなくても会員の方が丁寧に説明してくれて知見を深められること。
Q.日々の活動で大変だと思う点はなんですか
(Tomoさん)あまり大変と思ったことはないけれど、地道な作業・コミュニケーションが多いのでちょっと根気は必要かも。
(ゆきさん)自分が参加する前の投資の経緯などにキャッチアップする時間の捻出。
(大場さん)最初の方は企業理解などのキャッチアップが必要だけれど、ミーティングに出たり、レポートを作る中で自然と分かるようになる。
(関さん)資金調達や企業の買収など投資先で定期的に新しいイベントが起こり、起業家と同じ目線で話すためにその分野のキャッチアップをしなければいけない点。議事録を取るときもわからない単語が多数出てくるので、調べながらまとめる必要がある。
Q.活動に参加する前と後のギャップ
(Tomoさん)ARUNのHPを見て、とても高度な活動をしているという印象を持ち、おそるおそる活動を開始したが、自分でもできることがそれなりにあり、役に立っていると思えることは自己肯定感につながる。あと、単純に楽しい。
(ゆきさん) 最初の投資先とのミーティングは緊張したが、なんでも話せる雰囲気だった。
(大場さん)常に張り詰めている空気感かと思っていたが、そんなことは全くなく、和気藹々としていたりする。
(関さん)インターンとして活動しているので社会人の方とあまり関わりないと思っていたが、メンター制度や日々の会議でコネクションがあり、社会人としての勉強も詰めている。
Q.今後挑戦してみたいことなどあれば
(Tomoさん)新規投資案件のDue Diligenceに最初から関わる。CSI challenge Ⅳの運営。
(ゆきさん) 投資先のDue Diligence、インパクトを測るKPIの見直し。それと、ARUNの投資ポリシーをつくっていくプロセス。
(大場さん)投資先企業を決める際(CSI challenge Ⅳ)のミーティングに参加すること。
(関さん)国際基督教大学のラボ立ち上げ。
Q.その他自由な感想など
(Tomoさん)コロナにより全てがリモート対応なので、落ち着いたら現地に行き、ビジネスの現場を見てみたい。
(ゆきさん) もう少し関わりの時間を持ちたいが、調整中。細くても長く続けていきたい。
(大場さん)日頃インターンとしてお手伝いする中で学ぶことが多いと感じる。
(関さん)ARUNで素敵な社会人の方、同じ志を持ったインターンの方と出会えてありがたく思っています。
Q.活動に関心をお持ちの皆さまへ一言
(Tomoさん)私は地方在住ですが、住んでいる場所に関わらず、こういった活動に関われるのは今の時代ならではです。社会的投資やプロボノ・インターン活動にご関心のある方はご連絡ください。ITはじめ技術系の会社に投資をしているので、その分野に明るい方も歓迎です。
(ゆきさん) 少しでも興味を持たれたら、是非、お声がけ下さい。リモートの活動が多いので、地理的な距離を飛び越えて、一緒に活動していけると思います。
(大場さん)インターンも学業と両立出来るので、興味を持っていただけたら気兼ねなく覗きに来てください。お待ちしております!
(関さん)仕事量を学業、就活、プライベートの状況に合わせて調整してくれて両立しやすいです。また、NPO全体として新しい取り組みに積極的なので、自分が興味のある事業を実現しやすい環境が整っていると感じます。
サポーター会員として投資チームの活動にご参加くださる仲間を募集中です!
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