今回は男性にも読んで頂きたい、女性の生理にまつわるお話です。

「生理」は義務教育での保健教育以来、男性には遠いお話かもしれませんが、今回はこの生理にまつわるお話を性別問わず皆様に読んで頂きたいと思います。

ARUNのコラムをご覧になっている方々はAFRI padsという商品をご存知でしょうか。

AFRIpadsとは、東アフリカで有名な生理用ナプキンです。
2010年にカナダ人の夫婦Paul とSophia Grinvaldsが2人でウガンダにてAFRIpads Ltdという会社を立ち上げました。AFRIpadsは、その会社が作っている代表的な商品です。
2010年に設立されて以来、現在に至るまで急成長中しているAFRIpads Ltd.はThe Guardian, Huff post, Forbesなどでも取り上げられており、世界的に注目されている企業の一つです。今回のコラムでは、この会社の取り組みや商品を通じて、女性にとっての「生理」が持つ意味合いについて考えて頂ければと思います。

 

AFRIpadsの使命・価値:

AFRIpads Ltd.は「生理」がアフリカの社会繁栄の妨げにならないように、再利用可能な生理用ナプキンを作ることを使命として活動しています。
日本ではスーパーやコンビニ、薬局などで生理用ナプキンがお手ごろ価格で入手できますが、アフリカ諸国の一定数の女性は

  • 生理用ナプキンが売られているところまで歩いて行けない
  • 高くて買えない
  • 存在を知らない

といった理由から生理中の約一週間は、通学が非常に困難になってしまいます。

女子生徒が学校を4日以上連続欠席すると、欠席の理由が暗黙の了解でわかってしまうこの現象。思春期の男の子と女の子が同じクラスで勉強していれば生理をネタに笑ったり後ろ指さされたりすることは、日本でも見られた光景かもしれません。一ヶ月に一度は必ずやってくるこの一週間を、アフリカ諸国ではWeek of shameと呼んでいます。
またこの一週間は女子生徒が学校で勉強できない一週間。生理などなく毎日通える男子生徒との学力の差は広がり、女性の将来に大きく影響を受けてしまいます。毎月約一週間欠席をするということは、一年間約20%分の学業の差が出てしまうということなのです。
UNICEFによれば、10人に1人の女子生徒は生理が原因で欠席、または学校を中退するそうで、ウガンダだけに焦点を当てると7人のうち6人が生理を原因に中退するという統計が出ています。生理時の対応ができれば、中退を防ぎ教育を受けられる女性が増えることは想像に難くありません。まさにその手助けをするのがこのAFRIpadsなのです。

1(photo credit: AFRIpads<http://afripads.com/>)

 

投資・事業:
会社として設立する一年前の2009年3月には、オランダのエンジェル投資家Bert Bolkensteinから事業を開始するための操業資金が投資されました。
また、中間所得者層向けに再利用可能なナプキンを作っているカナダの会社、Lunapads(B Corp認証済)と提携し、Lunapadsの商標登録された製品を複製する許可を受け、一人につき年間$15の利用料金で、個人やNGOに向けて一年を通して供給し始めました。

AFRIpadsはインパクト投資よりもVenture philanthropyに近いモデルで活動を始めました。
ウガンダのAFRIpads Ltd.事業運営のためにAFRIpads B.Vという会社法人がオランダに立ち上げられ、ウガンダのAFRIpadsの事業支援や財政支援をしています。現在はAFRIpads B.V.が70%の持分を所有しており、共同創立者のSophiaとPaulは30%の持分を所有しているそうです。
Venture philanthropyモデルを維持しながら2013年、Opes Impact Fundが200,000ユーロ(約2400万円)相当分のエクイティ投資をしました。2015年までに500,000人の女性にAFRIpadsが届くこととを目標にしてスケールの拡大に挑戦しました。

 

社会的&財政的成果・インパクト:
AFRIpads Ltd.はウガンダの農村部の電気の通っていない二つの作業所にて、150人の若い女性が集まり生地を切ったり品質管理などを手がけ、足踏みミシンを使って生理用ナプキンを作っています。2017年現在はSave the Chlidrenなどの国際NGOのみならず、ウガンダ、マラウィ、ケニアでの販売店へ購入しに来る消費者を含め750,000人の若い女性や女の子たちにAFRIpads生理用品が行き届いています。

2(photo credit: OPES Impact Fund<http://www.opesfund.eu/>)

ウガンダの7人中6人の女性が生理を原因に学校を中退してしまうという、義務教育が通用しないこの事実。もしこの6人が中退せずに教育を受けられていたら、彼女たちの所得はウガンダ全体で約100億ドルにも上ります。持って生まれた生理ひとつが女性の教育の妨げになってしまうということは、100億ドルもの損失に繋がっているのです。しかし、このAFRIpadsにより一年間でも多く教育を受けた人の収入は、10~20%近く所得が増えると算出されています。

2015年時点では5000万円ほどの収益をあげ、AFRIpadsは現在150人以上のウガンダの正規雇用を生みました。東アフリカ諸国では「生理」という概念は男性から敬遠されていることもありますが、雇用している社員の90%が女性であることからAFRIpads Ltd.が女性の支援を強く意識していることもうかがえます。
女性が教育を受けて成長すれば、その女性から産まれた子供は清く正しく成長します。女性の教育は家庭の繁栄、そして社会全体の繁栄へと導かれるのです。こういった社会的意義のある事業に投資をするのが、社会的なインパクトのある投資、社会的インパクト投資なのだろうと私は考えています。

(筆者注:この記事における数字は2017年4月に閲覧した情報を基にしています。なお、AFRIpadsは年次報告書を公開しておりません)

References: